読了した本とその時の気持ちを書き留めておくブログです。ほぼミステリー。

「セイレーンの懺悔」読了しました

読書記録
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こちらの作品は、報道を舞台にしたミステリーです。
「セイレーン」てご存知ですか?
ギリシャ神話に出てくる妖精で、「サイレン」の語源だそうです。上半身が人間の女で下半身が鳥の姿。魅力的な歌声で船乗りたちを惑わせ、難破に誘います。
そんなセイレーンがタイトルにもなっている理由、最後まで読んで納得でした。

「セイレーンの懺悔」はどんなお話?

帝都テレビの報道番組「アフタヌーンJAPAN」ではここ最近不祥事が続き、BPOから度重なる勧告を受けていた。そんな中、起死回生のスクープを狙うべく入社二年目の新米記者と先輩記者コンビが女子高生誘拐事件を追うことになった。

どうして、この少女が標的に選ばれたのか。裕福でもない一般家庭の娘が狙われた理由は。
主人公が辿り着く、警察が公表できない、法律が裁けない真実とは――

「報道」のタブーに切り込んだ一作です。

「セイレーンの懺悔」の主な登場人物

  • 朝倉多香美(あさくらたかみ)…帝都テレビ社会部の入社ニ年目新米記者。
  • 里谷太一(さとやたいち)…帝都テレビ社会部の報道記者。多香美の先輩。
  • 兵頭(ひょうどう)…帝都テレビ報道番組「アフタヌーンJAPAN」のディレクター。
  • 宮藤賢次(くどうけんじ)…警視庁捜査一課巡査部長。霧島班の刑事でエース。
  • 東良綾香(ひがしらあやか)…女子高生誘拐事件の被害者。

「セイレーンの懺悔」を読み終えての感想

美しい歌声で船員たちを惑わすギリシャ神話の妖精「セイレーン」。
マスコミはまさにセイレーンのようだと放った宮藤刑事の一言が印象的でした。
視聴者を耳触りのいい言葉で誘い、当事者たちの悲しみを娯楽にして届けているーー

「報道の自由」を盾に無理矢理カメラの前に晒そうというのは、さながら暴力のようで辛すぎます。

それにしても本当にこんな出来事があったらとんでもないこでは!というような事件でした。それだけ報道する側は責任があるということですね。

個人的には、多香美が深酒してしまった場面でドキリ。
わかるよ、わかるよ多香美…。
何かを忘れるために飲むお酒ほど不味いものはないですよね。
私もそれで何度翌朝後悔したことか…。逃げちゃうっていうか考えたくないから、酔うのが手っ取り早いと思ってしまうんですよね。現実逃避。
で、状況が好転するわけでもなく、残ったのは二日酔い、みたいな。
は〜、なにやってんだろ…て虚無感だけ残ります。

新人多香美がもがきながらも報道人として成長していく姿に、勇気をもらいました。