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📖NANAKOの本棚📖
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今日ご紹介するのは、染井為人さんの小説『震える天秤』です。
📖 本の基本情報
タイトル | 震える天秤 |
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著者 | 染井為人 |
出版社 | KADOKAWA |
発売日 | 2019年8月 |
ページ数 | 336ページ |
ジャンル | 文芸小説 |
📝 あらすじ
高齢男性の運転する軽トラックがコンビニへと突っ込み、店員が命を落とすという大事故が発生。
「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と語る加害者には、認知症の疑いが浮上しています。
事件を追うライター・俊藤律は、男が暮らしていたという山間の村へと足を踏み入れます。しかし、そこで彼を待っていたのは、どこか不自然に口を閉ざす村人たち。村長をはじめとする村人たちの結束が異常なほど強く、外部の人間を寄せつけない閉鎖性をまとっています。
「この村には、何か大きな秘密がある」――そう確信した律は、村の過去を掘り起こしていきます。
そして、たどり着いた真相は、想像を絶するものでした。
💭 読んだ感想(ネタバレあり)
高齢者ドライバーによる交通事故――近頃のニュースでも頻繁に取り上げられるテーマから物語は始まります。しかし物語が進むにつれ、それが単なる事故の話ではなく、社会そのものへの問題提起へと変わっていきます。
物語の真相を知りたくて、あっという間に読み終えました。
律は震える天秤のうち、そちらを選んだのですね。事件の真相を暴くことは正義なのか。立場によって心の天秤は揺れ続け、考えさせられます。タイトル『震える天秤』が示すのは、その“揺らぎ”なのかなと思いました。
また、重苦しいテーマが軸にある中で、律と元妻・里美のやり取りにはちょっとしたユーモアが散りばめられていて、思わずほっこりしました。この柔らかい場面との対比があるからこそ、物語の緊迫した展開が引き立っていました。
さいごに。
運転の問題が取り上げられるとき、高齢者ばかりが注目されがちですが、実際にはそれだけが問題ではありません。物語の中でも触れられていましたが、高齢者が運転しなくても暮らせる社会の仕組みをつくることが必要だと感じました。
☕ この本は、こんな人におすすめ
🔚 おわりに
『震える天秤』は、ミステリの面白さだけでなく、現代社会が抱える高齢者の運転問題や、人それぞれの正義についても静かに考えさせてくれる一冊です。
心の天秤は一方に傾くのではなく、揺れて震え続ける――そんな余韻の残る作品です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。この記事が、あなたと素敵な一冊との出会いにつながれば幸いです。
また次の本で、お会いしましょう!