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『タワーリング』感想|都市開発の光と影――友情と人情が交錯する“城攻め”サスペンス!

2011年新刊2014年新刊文芸・小説新潮社福田和代
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NANAKO
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こんにちは🌿.*
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へお立ち寄りくださりありがとうございます。
今日ご紹介するのは、福田和代さんの小説『タワーリング』です。

📖 本の基本情報

単行本

タイトルタワーリング
著者福田和代
出版社新潮社
発売日2011年4月
ページ数249ページ
ISBN-13978-4103294610
ジャンル文芸小説

文庫本

出版社新潮社
発売日2014年1月
ページ数353ページ
ISBN-13978-4101257419

📝 あらすじ

「我々は、ウインドシア六本木を掌握した!」
突如響き渡る犯行声明により、地上50階・地下5階を誇る超高層ビル「ウインドシア六本木」は完全に封鎖されてしまいます。最上階に暮らすビル会社の社長が人質となり、ビルに居合わせた人々は一瞬にして逃げ場を失います。

地上では警察が手をこまねくなか、17階に取り残された会社員・船津康介は、極限の状況である奇策を思いつきます。
最先端の技術を備えた都市の要塞と化したビルで、犯人たちと閉じ込められた人々の思いがぶつかり合い、やがて誰も予想しなかった展開が待ち受けます。

次々に訪れるどんでん返しに、最後まで目が離せない城攻めサスペンスです。

💭 読んだ感想(ネタバレあり)

六本木ヒルズをモデルとした都市開発の描写から、“便利さの影で置き去りにされる人々”のことを連想しました。子どもの頃の街並みへの郷愁と、現代の巨大ビルが対比されているのが印象的です。

物語は、“巨大企業に踏み潰された蟻の逆襲”という邦画風の人情ドラマのようでもあり、単なるサスペンス以上の奥行きを感じました。友情や家族愛が絡み合い、読み終えたときには「人情ものだった」と思えるほど温かみがあります。

ビルジャックという設定からは、もっとバイオレンスや重苦しい展開を想像していたのですが、実際にはライトでスピード感のある物語でした。犯人グループも殺意を持っていたわけではなく、むしろ行き過ぎた友人を止めるための行動だったのです。そのため暴力的な描写はなく、痛快なアドベンチャー小説として楽しめました。

少年時代のエピソードで始まり、少年時代の記憶で締めくくられる構成も良かったです。最後には「結局誰も大きな損害を受けなかった」という読後感が残り、不思議と爽やかな気持ちになれました。

☕ この本は、こんな人におすすめ

  • サスペンスが好きだけれど、重苦しい話は苦手な人
  • 友情や人情を描いた物語に惹かれる人
  • スピード感のある小説を一気読みしたい人
  • 都会と郷愁、開発と人情といったテーマに興味がある人

🔚 おわりに

ビルジャックという大胆な設定でありながら、人情や友情に焦点を当てたことで、独自のサスペンス作品になっていました。ハラハラするよりも、むしろ温かい読後感が残るのが魅力です。
都市開発の影と光、人と人とのつながりを考えさせられる一冊でした。

NANAKO
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。この記事が、あなたと素敵な一冊との出会いにつながれば幸いです。
また次の本で、お会いしましょう!