― *. 読んだ本、少しずつ綴っていきます。 .* ―

『生還せよ』感想|中野学校と戦後70年を生き抜いた諜者たち。感動と静かな余韻が残るスパイ小説

2016年新刊2020年新刊KADOKAWA文芸・小説福田和代
✪当ページのリンクには広告が含まれています。
NANAKO
NANAKO

こんにちは🌿.*
📖NANAKOの本棚📖
へお立ち寄りくださりありがとうございます。
今日ご紹介するのは、福田和代さんの小説『生還せよ』です。
「○○せよ」シリーズ3作目ですね。

📖 本の基本情報

単行本

タイトル生還せよ
著者福田和代
出版社KADOKAWA/角川書店
発売日2016年6月
ページ数408ページ
ISBN-13978-4041034767
ジャンル文芸小説

文庫本

出版社KADOKAWA
発売日2020年1月
ページ数464ページ
ISBN-13978-4041087497

📝 あらすじ

国家機密が奪われた――。日本の最先端技術が軍事転用目的で流出し、事態は国際謀略へと発展します。航空自衛隊三等空佐・安濃将文あのう まさふみと同期の泊里とまりは、内閣府の小規模な諜報部門に所属し、CIAの情報を受けてシンガポールに潜入しました。

彼らの標的は、技術を国外へ流した映像解析の専門家・田丸たまるです。しかし、接触を試みる直前に「田丸が撃たれた」との報告が入ります。さらに、日本人ビジネスマンの保護任務が下る中、泊里が何者かに銃撃されてしまいます。

現場には、経産省の検査官・高木摩子たかぎ まこや警察庁の神崎かんざきも姿を現し、事態はさらに複雑な国際謀略の渦へと広がっていきます。自衛官から諜報員となった安濃は、仲間を守りながら真相を追います――。

💭 読んだ感想(ネタバレあり)

「○○せよ」シリーズ3作目です。前作に続き、今回もタイトルがダブルミーニングになっていて、ラストで思わず「なるほど、そういうことか!」と感嘆しました。

特に印象に残ったのは、陸軍中野学校出身者たちが戦後70年を経て再会するシーンです。悪く描かれがちな中野学校ですが、本作では「諜者としての凄み」と「生き抜いた歳月の重み」がしみじみと伝わってきました。長い年月を生き延びた者同士の再会は、スパイ小説でありながら人間ドラマとしても胸を打ちました。

――おかえりなさい。

物語としては、安濃が相変わらず孤軍奮闘する展開にハラハラ。泊里と一緒だから安心、と思った矢先に裏切られるような流れは、前作と逆のパターンでした。大きなアクションは抑えめですが、絡み合う謀略にじわじわと引き込まれました。

また、今回真樹ちゃんの出番は少なかったものの、相変わらず安濃を心配している姿がとても微笑ましかったです。深めなテーマの中に、こうした温かみが垣間見えるのもシリーズの魅力なのかなと思いました。

☕ この本は、こんな人におすすめ

  • スパイ小説や国際謀略ものに興味がある人
  • 歴史や戦後史(特に陸軍中野学校)に関心がある人
  • 人間ドラマとサスペンスをあわせて楽しみたい人
  • 「○○せよ」シリーズのファンの人

🔚 おわりに

タイトルのもうひとつの意味が明かされた瞬間の衝撃、そして70年を生き抜いた諜者たちの姿に深い余韻を覚える一冊でした。大きなアクションよりも、重厚な人間模様と謀略の積み重ねを楽しみたい方におすすめです。シリーズものですが、本作だけでも充分に読みごたえがあります。ぜひ安濃たちの戦いを見届けてください。

NANAKO
NANAKO

最後までご覧いただき、ありがとうございました。この記事が、あなたと素敵な一冊との出会いにつながれば幸いです。
また次の本で、お会いしましょう!