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『コンビニ人間』感想|「普通」って何?自分らしくいられる生き方

2016年新刊2018年新刊文芸・小説文藝春秋村田沙耶香
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NANAKO
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こんにちは🌿.*
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へお立ち寄りくださりありがとうございます。
今日ご紹介するのは、村田沙耶香さんの小説『コンビニ人間』です。

第155回芥川賞受賞作です。

📖 本の基本情報

単行本

タイトルコンビニ人間
著者村田沙耶香
出版社文藝春秋
発売日2016年7月
ページ数160ページ
ISBN-13978-4163906188
ジャンル文芸小説

文庫本

出版社文藝春秋
発売日2018年9月
ページ数176ページ
ISBN-13978-4167911300

📝 あらすじ

36歳、未婚。彼氏いない歴=年齢。
古倉恵子は大学を卒業してから正社員になったことがなく、コンビニのアルバイトを続けて18年になります。オープン当初から勤める「スマイルマート日色駅前店」は、彼女にとって職場であり、生活の中心であり、心の拠り所です。仲間が去り、店長が何度も変わっても、彼女だけはいつも同じ場所に立ち続けてきました。

日々食べるのはコンビニ弁当で、夢の中でもレジを打ちます。清潔で均一な店内とマニュアルに従った接客は、彼女を安心させ、社会の歯車として「正しく」存在させてくれます。家庭を築き、キャリアを歩む同級生たちから不思議がられても――彼女にとってコンビニこそが世界と調和できる唯一の場所なのです。

そんな日常に現れたのは、新しく入ってきたアルバイトの男性・白羽です。結婚を目的に職を転々とする彼は、恵子さんの生き方を「恥ずかしい」と断じます。その言葉に揺さぶられる恵子。
「普通」とは何でしょうか。
「異常」とは誰が決めるのでしょうか。

揺らぎ始めた日常の中で、彼女が選ぶ道とは――。

💭 読んだ感想(ネタバレあり)

「普通って一体なんだろう?」という問いに惹かれて手に取った一冊です。
周囲から見ると、恵子は“変わっている人”。でも彼女にとっては、マニュアルに沿って動けるコンビニの世界こそ安らぎであり、唯一「社会の部品」として存在できる場所なのです。

他人と完全には共感できず孤独を感じながらも、うまく社会に合わせて生きる恵子。自分にしっくりくる場所を見つけ、周囲の評価に左右されず、静かに自分の満足する生き方を貫く姿には胸を打たれました。

恵子の思考回路で物語を追うことで、世間の「普通」を「異常」に感じる感覚が新鮮で、不思議な体験でした。「普通」とは何か、「異常」とは誰が決めるのか――考えさせられる一冊です。

☕ この本は、こんな人におすすめ

  • 「普通」や「生き方」について考えてみたい人
  • 個性的な主人公の視点で物語を味わいたい人
  • 社会と自分の関わりにモヤモヤを感じている人
  • 短くても深いテーマを描いた文学作品を読みたい人

🔚 おわりに

「普通」とは何か?「異常」とは誰が決めるのか?
そんな根源的な問いを、ユーモラスでシンプルな文体で描き切った作品でした。
日常のすぐそばにある違和感に気づかせてくれる、そんな小説だと思います。

NANAKO
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。この記事が、あなたと素敵な一冊との出会いにつながれば幸いです。
また次の本で、お会いしましょう!