― *. 読んだ本、少しずつ綴っていきます。 .* ―

『帝都地下迷宮』感想|地下鉄廃駅と国家の闇が交錯する、どんでん返しミステリー

2020年新刊2022年新刊PHP文芸文庫PHP研究所 中山七里文芸・小説
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NANAKO
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こんにちは🌿.*
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へお立ち寄りくださりありがとうございます。
今日ご紹介するのは、中山七里さんの小説『帝都地下迷宮』です。

📖 本の基本情報

単行本

タイトル帝都地下迷宮
著者中山七里
出版社PHP研究所 
発売日2020年2月
ページ数288ページ
ISBN-13978-4569845777
ジャンル文芸小説

文庫本

出版社PHP研究所 (PHP文芸文庫)
発売日2022年8月
ページ数344ページ
ISBN-13978-4569902340

📝 あらすじ

鉄道マニアの公務員・小日向巧こひなた たくみは、趣味の延長で立ち入り禁止となっている地下鉄銀座線・萬世橋駅に足を踏み入れます。
そこで出会ったのは、政府の極秘事情により地上で暮らすことを許されず、地下に潜んで生活する謎の集団「エクスプローラー」でした。

しかし、その閉ざされた空間で殺人事件が発生します。
事件の真相を追う捜査一課と、秘密を探ろうとする公安が互いにぶつかり合い、小日向は否応なく渦中に巻き込まれていきます。

地下に隠された真実とは何なのか。
そして、仲間のふりをして紛れ込む殺人犯の狙いとは──。
東京の地下を舞台に、予測不能のスリルが駆け抜ける鉄道ミステリーです。

💭 読んだ感想(ネタバレあり)

「鉄道×国家の闇」が融合した、唯一無二のミステリでした。

特に印象に残ったのは、地下空間の描写です。
廃墟特有の薄暗さや湿気の匂い、そしてそこで暮らす人々の生活感がリアルで引き込まれました。地下で文明を築いている光景には一瞬ファンタジーを思わせる面白さがありますが、背景には高速増殖炉や放射能事故など、現実に根ざした重いテーマが潜んでおり、その対比が心に残りました。

また、小日向のキャラクターも良かったです。彼は損得勘定ではなく、自らの良心と義務感に従って「エクスプローラー」を助けようとします。その真っすぐな行動に、人間味あふれる魅力を感じました。

鉄道オタク、地下住民、公安と刑事の対立、SNS、そして国策事業――一見バラバラな要素が糸のように絡み合い、最後には驚きのどんでん返しへ。面白かったです。

☕ この本は、こんな人におすすめ

  • 廃駅や地下鉄といった「鉄道ロマン」に惹かれる人
  • リアルで重厚な社会派ミステリが好きな人
  • 国家と個人の対立を描いた作品に関心がある人
  • どんでん返しにスカッと驚かされたい人

🔚 おわりに

地下鉄廃駅という好奇心をくすぐる舞台設定から始まり、やがて国家の隠された闇へとつながっていく展開に、最後まで一気に読み進めてしまいました。
廃墟の持つ独特の雰囲気を味わいつつ、重厚な社会派テーマにも触れられる贅沢な一冊です。
ぜひ“東京の地下迷宮”を、あなたも体験してみてください。

NANAKO
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。この記事が、あなたと素敵な一冊との出会いにつながれば幸いです。
また次の本で、お会いしましょう!